
オフサイトPPAとは?オンサイトPPAとの違いやメリット・デメリットを徹底解説!
PPA(電力購入契約)モデルの中でもオフサイトPPAとは何か、この記事ではオンサイトPPAとの違いを含めて解説します。メリット、デメリットや太陽光発電設備を自社の施設に設置せずにどのように再生可能エネルギーを調達するのかなども紹介します。
- 企業が低コストで太陽光発電の電力を導入できるPPA
- コーポレートPPAの一種が「オフサイトPPA」
- オンサイトPPAとオフサイトPPAの違いって?
- オフサイトPPAにはどんな種類がある?
- オフサイトPPAのメリット・デメリットとは?
- メリット①:導入コストがかからない
- メリット②:柔軟に電力を調達できる
- メリット③:脱炭素経営が手軽にできる
- デメリット(1):電気料金の削減効果が低い
- デメリット(2):災害時に活用できない
- デメリット(3):契約期間が長い
- オフサイトPPAが導入される背景とは?
- RE100とは
- オフサイトPPAはどうすれば導入できる?
- まとめ
企業が低コストで太陽光発電の電力を導入できるPPA
PPA(ピーピーエー)とは、Power Purchase Agreement(パワー・パーチェス・アグリーメント)の略で、日本語で表現すると「電力購入契約」となります。実はPPAは、企業が太陽光発電などによる再生可能エネルギーを利用するうえでメリットのある仕組みです。
PPAの中でも企業(法人)間のPPAをコーポレートPPAと呼んでいます。企業がPPA事業者と直接契約を結び、再生可能エネルギーによる電力を長期的に利用することでグリーンエネルギーを安定的に調達でき、脱炭素化の推進を図ることができます。
コーポレートPPAの一種が「オフサイトPPA」
コーポレートPPAにはオンサイトPPAとオフサイトPPAの2種類があり、このうち「オフサイトPPA」は、自社の敷地内に太陽光発電設備を導入することが難しい場合など、発電事業者から再生可能エネルギーをはじめとする電力を購入して利用できる仕組みです。
オフサイトPPAの「オフサイト」とは、英語の「off-site」が元となるカタカナ英語で、「現場から離れた場所」を表し、対義語に「オンサイト」があります。
オンサイトPPAとオフサイトPPAの違いって?
オンサイトPPAとオフサイトPPAの大きな違いは、敷地内に太陽光発電を導入するか(オンサイト)、他所(オフサイト)で発電した電気を購入するかです。
オンサイトPPA
自社の敷地内など、発電設備が電力を使う施設の近くにあり、構内線や自営線で接続する
オフサイトPPA
発電設備が遠隔地にあり、そこで発電した電力を電力会社の送配電網を使って供給される

オフサイトPPAにはどんな種類がある?
オフサイトPPAにはフィジカルPPAとバーチャルPPAがあり、フィジカルPPAは法人需要家が発電事業者から電力と環境価値の両方を購入できるのに対して、バーチャルPPAは環境価値だけを購入することをいいます。
フィジカルPPA
太陽光発電で発電した再生可能エネルギー電力に加え、環境価値(Jクレジットや非化石証書)を購入することで手軽に脱炭素経営ができる
バーチャルPPA
電力自体は通常の電力網から供給を受けつつ、環境価値を購入することで再生可能エネルギーを利用したことと同等の脱炭素効果を達成できる
環境価値とは
環境価値とは、①再生可能エネルギー由来の電力などが持つ、CO2排出抑制など環境に配慮した付加価値のことを指します。環境価値は地球環境にプラスに働くものでなくてはならず、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーで発電された電気は、発電時にCO2などの温室効果ガスを排出しないという点で環境価値を持っているという考え方です。
また環境価値には再生可能エネルギーによる電力そのものの価値に加え、②環境保全に貢献することが挙げられます。例えばCO2削減やカーボンオフセットのためのクレジットや証書の購入などがそれに当たります。
非化石証書
化石燃料を使用せずに発電された電力(非化石電源)が持つ環境価値を証書化したもので、発電時の排出量削減のみを対象としている。非化石証書にはFIT制度(固定価格買取制度)に基づく再生可能エネルギーに対して発行される①FIT非化石証書と、FIT制度以外で発電される再生可能エネルギー電源に対して発行され、大型水力発電やFIT制度が終了した卒FITなどが含まれる②非FIT化石証書(再エネ指定あり)がある
オフサイトPPAのメリット・デメリットとは?
オフサイトPPAのメリットとしては以下の3つが挙げられます。
メリット①:導入コストがかからない
オフサイトPPAでは発電設備は事業者が所有するため、需要家は導入費用を負担することなく再生可能エネルギーによる電力が得られます。
メリット②:柔軟に電力を調達できる
自社で太陽光発電設備を保有しないので、敷地面積や日照条件などにかかわらず必要な電力を発電事業者から購入することができます。自社で発電するよりも多くの電力を、より規模の大きな発電所から調達できる点もメリットです。
メリット③:脱炭素経営が手軽にできる
発電事業者から再生可能エネルギーによる電力を購入することで、手軽に脱炭素経営を始められるメリットがあります。また電力と同時にクレジットや証書を購入することでカーボンオフセットによる埋め合わせができ、削減が難しかったCO2排出量を相殺することができます。
一方でオフサイトPPAのデメリットとしては以下の3つが挙げられます。
デメリット(1):電気料金の削減効果が低い
オフサイトPPAでは、オンサイトPPAに比べて電力コストの削減効果が低いといわれています。その理由としては他所で発電された電気を自社の敷地まで届けるための送電設備の利用料(託送料金)や再エネ賦課金、燃料費調整額などを事業者に支払う必要があることが挙げられます。
デメリット(2):災害時に活用できない
オフサイトPPAでは離れた場所にある発電所から送電網を使い電気が供給されるため、災害時などに停電した場合、すべての電力が使えなくなります。この点が自社の施設内で発電するオンサイトPPAに比べて不利といえるでしょう。
デメリット(3):契約期間が長い
PPAは通常、15〜20年の長期契約を結ぶ必要があり、契約を結ぶための事前審査も行われます。これらは発電事業者が初期投資や運営費を月々の電気料金から回収するためで、オフサイトPPAでも契約期間は同じです。いったん契約を結ぶと契約期間中は自己都合での解約や変更はできないうえ、違約金が発生する場合もあるので注意が必要です。
オフサイトPPAが導入される背景とは?
電気料金の削減でいうとオンサイトPPAのほうが有利という印象ですが、世界ではオフサイトPPAが隆盛といわれ、脱炭素のトレンドとも称されています。日本ではオンサイトPPAのほうが主流と感じるかもしれませんが、ここ数年オフサイトPPAの導入は増加傾向にあります。
実はオフサイトPPAを導入している企業のほとんどがRE100という国際的なイニシアティブに加盟していて、誰もが知っている著名な企業が名を連ねています。設備規模に制限があるオンサイトPPAでは、RE100の要件を満たせるだけの電力量をまかなうことが難しく、オンサイトPPAとは異なり設備規模に制限のないオフサイトPPAのほうが、必要な電力をまかなえ、RE100向けのPPAといえるでしょう。
RE100とは
企業が事業活動で最終的に消費するエネルギーの100%を再生可能エネルギー由来の電力でまかなうという国際的なイニシアティブ(取り組み、手段)のこと。加盟するにはグループ企業全体で、事業で用いる電力を100%再エネで調達することやその目標に期限を設けることを宣言するなどの条件があります。
RE100などの国際的なイニシアチブでは、企業が調達する再エネ電力が「追加性」のあるものかどうかを重要視しています。
追加性(additionality)とは、「再エネによる電力や証書・クレジットの購入により、新たな再エネ設備に対する投資を促す効果があること」をいい、近年再生可能エネルギーによる電力の調達に積極的な企業の間で注目されています。
オフサイトPPAはどうすれば導入できる?
信頼できる発電事業者を選び、詳細な契約内容を確認しましょう。一般的なコーポレートPPAでは発電事業者と電力小売事業者との調整に時間と労力がかかります。
エネブリッジでは、コーポレートPPAの中でも、よりリスクの低い1年単位で契約更新が可能なサービスを提供しています。PPA事業者が所有する太陽光発電システムを利用した短期契約が可能で、長期契約のリスクや不安を払拭し、より手軽に太陽光による再生可能エネルギーの活用、脱炭素経営を始めるきっかけになると注目されています。
まとめ
PPAの中でも、最近注目されているオフサイトPPAについて紹介しました。日本ではオンサイトPPAのほうが主流と感じるかもしれませんが、RE100企業などを中心に、オフサイトPPAを導入する企業が増えていることや、自社の敷地面積が小さく、必要な電力を十分にまかなえないなどの物理的な側面で、オフサイトPPAを選択する企業が増えているのです。脱炭素社会に向けて、CO2削減目標の達成に貢献するためにも、オフサイトPPAをはじめとするPPAモデルの導入は企業イメージ向上にもプラスになるでしょう。